大号泣間違いなしの映画『アンコール!!』。この映画一つで、笑えて、感動して、元気になれる。頑固で嫌われ者、息子との関係も良くない夫のアーサーですが、妻マリオンを愛する気持ちはとてもまっすぐで、だからこそ二人の関係を見ていると温かい気持ちになれるし、切なくもなる。とても大好きな映画です(*^-^*)
映画『アンコール!!』のあらすじ・見どころ
あらすじ(ネタバレなし)
これは、頑固者の夫アーサーと、その愛する妻マリオンのお話。
マリオンはとても社交的かつ明るい性格でコーラス仲間からも愛される存在。しかしその夫アーサーは頑固者で愛想が悪く、なかなか周囲に馴染めません。でもそれは彼の不器用さゆえのことで、妻マリオンの前ではとても素敵な男性。
自分から集団の中に入っていけないアーサーですが、彼女の前ではしっかりと愛を伝え、妻につくし、妻の体を心配する良き夫で、その姿はとても健気です。
作中で妻マリオンによって歌われる『True Colors』という曲は、勇気を出して人と関わることができないでいる夫へのメッセージだったのでしょう。
アーサーは息子とも合唱団の仲間ともギクシャクしていますが、妻だけは夫の本当の良さ(色)を分かっている。でも、その良さは自分だけでなくて、他の人にも見せてほしいという思いがこもっています。
妻のガン再発をきっかけに、アーサーが大切な人のために、そして自分のために人生の新しいスタートを切ります。
2012年、トロント国際映画祭。クロージング作品の上映終了後、会場は涙と笑顔で溢れていたー。
引用元:映画「アンコール!!」公式サイト
見どころは不器用な夫アーサーの溢れるほどの妻への愛
アーサーの不器用さをテレンス・スタンプが実に見事に演じています。本来は寂しがりやで優しくて、でも不器用なため、アーサーの良さはなかなか周囲に伝わりません。まさに頑固おやじそのものといった感じ。
子どもから見たら、一切褒めてくれず、笑顔すら浮かべないアーサーのような父親は近寄りがたい存在です。むしろ「愛してくれていないんじゃないか?」そんな風に感じさせる接し方しかできないアーサーと息子の間には大人になってからもどこかぎこちない空気が流れます。
アーサーからすれば本当は愛しているのに、その伝え方が分からない。だから無口になる。話をしても酷い言い方しかできない。お互いに思いあっているはずなのに、ちょっとしたボタンの掛け違いでおこる家族の問題が描かれます。
この映画の良さはテレンス・スタンプ演じるアーサーの不器用さがとても上手く描写されているという点。息子や周囲の人とどう接していいか分からないため、いつもどこか居心地悪そうにしているその様子は、単に頑固で意地悪なのではなく、「本当は上手くやりたいという気持ちがあるんだろうな…」ということが伺えます。
癌の再発が分かって自宅で療養するマリオンのもとに合唱団のメンバーがやってきて歌をプレゼントするシーンがあるのですが、彼らにとってはマリオンを元気づけるための善意であり、マリオンもそのことを感じとって喜びます。しかし、その横で不機嫌そうにするアーサーの姿がとても印象的です。
こういったシーンの場合、仲間が励ましに来てくれた感動的シーンとして映るものですが、あえてアーサー目線が協調され『妻を休ませたいのに、余計なことを…』という心配する気持ちがヒシヒシと伝わってきます。
マリオンが所属する合唱団「OAP'z(年金ズ)」はとても個性的で、劇中で歌われるロックでポップな曲がとてもいいスパイスになっています。特に、前半で歌われる「Let's Talk About Sex(セックスについて話をしましょう)」の歌詞も、色々な経験をしてきたおじいちゃんやおばあちゃんが歌っているからこその魅力がたっぷり。
「老人によるコーラス」が映画の主軸にありますが、その歌はものすごく上手いというわけではありません。むしろ、俳優たちが実際に歌う自然で素朴な歌声だからこそ、心を震わせるものがあります。歌の選曲も絶妙で、大事な場面で歌われる歌の歌詞が、映画の内容をより一層と輝かせ、心温まるストーリーとなっています。
作品情報
(C) Steel Mill (Marion Distribution) Limited 2012 All Rights Reserved.
- 原題:Song for Marion
- 製作国:イギリス(2012年)
- 日本劇場公開:2013年
- 収録時間:94分
映画でOAP'z(年金ズ)が歌っている曲まとめ
- Crasy
- You Are The Sunshine of My Life
- Ace of Spades
- Let's Talk About Sex
- True Colours
- Ain't Nobody
- Love Shack
- Lullaby
▶映画『アンコール!! (Song For Marion)』のサントラはこちら
主要キャストの関連映画
Exciting times as #SongForMarion will be playing in German cinemas as of tomorrow, 14th of March! #film pic.twitter.com/Pz6DZu6Vuf
— Song For Marion (@SongForMarion) March 13, 2013
テレンス・スタンプ :アーサー
バネッサ・レッドグレーブ :マリオン
ジェマ・アータートン :エリザベス
妻に贈る最高のラブソング。妻が夫に贈る最高のプレゼント。
この映画を見ていると、温かい気持ち、感動がジワジワと心の奥から湧き上がってきます。アーサー演じるテレンス・スタンプの歌声はとても透明感があり、涙なしには聞けません。
妻へと贈る最高のラブソング。アーサーがマリオンを思う深い愛が伝わるのはもちろん、これまで素直になれなかったアーサーが息子との関係修復に自分から踏み出す姿もまた感動します。
とにかく色んな愛が凝縮されていて、何度見ても号泣してしまう作品。
映画のラストは一歩踏み出したアーサーの気持ち、これからの希望がとてもよく表現されていて、爽やかな余韻が残ります。